コロナ禍2020年を振り返って
※ほびっと村学校HPに寄稿した原稿より抜粋
コロナ禍の産後ケア
私の日常の仕事はアウトリーチ型産後ケアを専門とする産後ドゥーラです。一般社団法人ドゥーラ協会に認定を受けたのは8年前…。これまでに500人に近い産後ママと赤ちゃん、そのご家族のサポートをさせていただいてきました。
昨年、コロナ禍で迎えた妊娠出産は、ママにとっては、とても厳しいものでした。まず、産前の健診も妊婦さん一人しか病院に入れないし、普段なら行われているはずの両親学級も中止。お産の時の立ち合いにも入院中のお見舞いにも制限があり、まさにママは孤独なお産を余儀なくされました。しかも、ご実家から来てくれるはずだったお母様お父様が上京できない。里帰り出産も東京からは受け入れてもらえない。という産後も孤立した状況が続きました。
私はもちろん仲間の産後ドゥーラたちも緊急事態宣言中は自宅待機、解除後は感染予防を徹底的にした上で、ママと赤ちゃんには接触しない形でのサポートに限られました。
※画像は2017年のものです。
子育てのアドバイザーとしてのニーズ
ところが、5月ゴールデンウィーク以降は、ご依頼が急速に増えました。孤独な育児に限界を感じてのことだと推察しています。
また、リモートで在宅のパパに沐浴の仕方をはじめ、それこそ、おむつの変え方、ミルクのあげ方、抱っこの仕方、寝かしつけの仕方…etcを指導して欲しい、というご依頼が急速に増えたのです。本来なら保健所や産院や病院で行われているパパ学級や両親学級で習っていたことを、ドゥーラが役割を担うことになったわけです。加えて、抱っこ紐のこと、赤ちゃんのお洋服のこと、お部屋の環境、母乳によいお食事のことなどもお伝えしてきました。
パパが家にいる安心感
さらには、ママへはどんな言葉をかけたらよいか、あるいはどんな言葉をかけない方がよいか、などなど、メンタルな面でのアドバイスもいたしました。リモートワークでパパが在宅中、力を合わせて育児に取り組んでいく若いご夫婦を支えながら、この状況も決して悪くはない、と思うことも増えていきました。
なぜなら、産後ママにとっては、パパが家にいてくれるのは何より気持ちが落ち着くからに他なりません。
先日もあるお母さんとお話ししましたが、産後一、二か月は下手をすると仕事に行ったパパが帰ってくるまでは、一日中大人と話す機会がゼロになってしまう…。お一人目のご出産時に、そのことがこんなに辛いとは思わなかったと話してくれました。お二人目、パパが在宅中という状況は、そんなママたちの不安を解消してくれる一因ともなっているようです。
ドゥーラだからできること
昨年は妊娠中にメンタル面の病気を発症されたママをお二人ほどサポートさせていただきました。パパは育児休暇をとり、ママを支えながら、懸命に育児に取り組んでいました。ママに負担がかかり過ぎないように、交代制で赤ちゃんのお世話をして、一人はその間に睡眠をとる…というローテーションが確立されていきました。
母乳についてのご相談も受け、ママの負担にならないような方向にもっていき、パパも哺乳瓶で上手に授乳できるようになりました。沐浴もパパが担当し、おすすめしたスリングも上手に使いこなせるようになりました。
ある日、訪問すると、パパが冷えないように腹巻をして、スリングで赤ちゃんを抱っこしていました。その姿を見て「産後パパ」と私が感心していたら、ママも加わって三人で笑いました。だんだん、ママにもゆとりがでてきて、赤ちゃんを抱っこしながら楽しそうに鼻歌を歌いながらあやしている姿を見た時には、私も感動して胸が熱くなりました。お宮参りの準備で、赤ちゃんの手形をとるお手伝いをしたり、保育園が始まってからの生活を考えたり、共に楽しい思い出ができました。
コロナ禍は不安の方が大きく辛い思いをされていらっしゃる方も多いはずですが、このような時だからこそ、産後のご家庭に入ることができ、寄り添うことができる産後ドゥーラとして、お役に立てていることを嬉しく思い、やり甲斐を感じています。
※画像は2017年のものです。
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